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「アオイカシマシ」


「セックスとかさ、外でしてみたいよね」
「はい?」
彼女が割と平然とした顔で言うものだから僕は変な声を出す。
「そういう狂ってるのが、いいと思うのよ」
もぞもぞと布団の中で動きながら彼女は言った。
「ね、ホント、常識とか倫理とかどうだっていいの。いっそありのまま狂っちゃった方が絶対気持ちいいじゃない」
「そうかも、しれないけど」
「ね、だからしてみない?」
本当に狂っているみたいだと、僕は肩をすくめる。彼女の眼は割と本気なのだけれど、
「今日は凍死するからやめよう?」
外は真っ白な雪で覆われていて、部屋の中ですら息が白くなるほどに寒い。
「知ってる?」
彼女はそういう僕に諭すような口調で言った。
「雪山で遭難したとき、セックスすれば暖がとれるのよ」
「だからなんだって言うんだ」
彼女はしばらく考えるように口元に手を当て、笑う。
「何事も非現実的な方が、楽しいってこと」
現実で十分だ、と僕はため息を吐いた。


09/12/26 もこ
 

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