「雪」
「寒いっすなあ」
灰色の空からたくさんの雪が降ってくる。
「凍死するかもね?」
「そうだなあ」
私たちは雪原に埋もれながら、空を見ている。
「温泉、行きたい」
「あーいいな。ジャグジー入りたい」
「ジャグジーって死体な気分だと思う」
「何死体な気分って」
目にかかる雪が痛くて私は目を閉じる。雪が積もる音がさくさくと聞こえて私はどきどきする。
「体が浮いて、そのまま自分も泡になりそうだから」
「死体になったことないのになあ」
「ほとんど今、死体みたいなもんだけど」
風が強く吹く。体がだんだん雪の中に入っていく。
「寒いっすなあ」
目を開けると隣には死体が居た。
灰色の空からたくさん雪が降ってくる。
09/12/21 もこ
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