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「作者の選択」



「あ」
と思ったとき、私の意識は黒く沈んだ。

残念なことにこの物語の主人公は死んでしまった。理由は大したものではないので別段ここで語る必要もないだろうが、しかしこれは困ったことになった。
物語が完結する前に主人公が死んでしまったのである。これでは物語が完結しないどころか、まず進行しない。物語には必ず語り部が必要であり、そしてそれはこの物語を描いている作者が必ず定めなければいけないのである。
もちろん物語によっては一人称ではなく、三人称の描かれ方をする作品もある。しかしながら作者は三人称がいまいち苦手であり、一人称でないと上手く物語が進行させられないのだ。
さて、そこで問題だ!
このどうしようもない状況で、どうやって物語を完結させるか?

3択―ひとつだけ選びなさい

答え①ハンサムの作者は突如この状況を書き進めるアイデアがひらめく

答え②仲間がきて残りを書いてくれる。

答え③どうしようもない。現実は非常である。

できれば答え②に丸をつけたいところだが、作者には一緒に作品を書いてくれるような仲間が居ないので期待はできない。
今すぐ書き仲間が都合よくあらわれ、アメリカンコミックヒーローのようにジャジャーンと登場して「待ってました!」と助けてくれるってわけにはいかない。
というわけで、やはり①を選ぶしかないようだ。
作者はキーボードを打ちながらこの状況を打破するアイデアを考える。
思い浮かばない。
考える。
思い浮かばない。

答え③

こんなことを考えているうちに、何故主人公が死んでしまったのか、そもそもどんな物語だったかも頭から消えてしまったのであった。
現実は非常である。

しょーもないしょーもない。


10/01/24 もこ

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