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「はないちもんめ」



ばきり。
音がなる。目の前の鉛筆が折れている。
「ああ」
間延びした声を洩らしながら、折れた先を見つめる。
尖ったそれは自分そっくりでなんだか間抜けだ。
「あはは」
誰にも必要とされていないことを実感すればするほど、気分が悪くなる。
一体何のために自分が生きているのか。考えれば考えるほど、意味がなくなっていくようで、笑いが込み上げる。
「あはは」
指先に痛みが走る。折れた先を指で突く。痛い。生きていることを実感する。
このまま力を込めればきっと赤い血が出る。それもきっと自分が生きている証拠だ。
「あはは」
生きるのが辛い。毎日孤独に苛まれるのが辛い。
永遠に名前を呼ばれることのない不安が、広がっていく。
「居ないのと一緒なら、生きている意味なんてあるの?」
その有無は私には分からない。
折れた鉛筆を触る手だけが、ぼんやりと現実感を伝えてくる。
「ああ」
握った鉛筆に力を込める。
音は鳴らない。
深い痛みと、赤色だけが、机に広がる。
「あの子が欲しい」


10/02/06
 

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